参加者の中に、毎日教室でパソコンと睨み合いをしている48歳の男性がいます。
長野から来た太田さん(仮名)です。

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世間では不惑と言われる年齢ですが、太田さんには一つの覚悟があります。
「絶対に、人生を変える。」

決して順調な人生ではありませんでした。太田さんは、20代は大阪で自営業を営んでいましたが、最終的に不景気のあおりを受け店を畳みました。その後、冬は長野でスキー関係の仕事を、夏は愛知のトヨタの工場や他の製造業の派遣の仕事を10年以上やってきました。整理解雇も10回以上経験しています。

今でも鮮明に覚えています。「当時、会社の業績が良かったので、お盆休みに入る前に会社が『お疲れさん会』を開いてくれました。ところが、お盆休みが終わって戻ったらすぐ「中国での生産に切り替わるので、今月でみなさんは終わりです。」

長野の外れの街では一度職を失うと次の職を見つけるのは大変です。人口3万の観光がメインの街、やりたくない仕事でもやらなければ生活できません。運良く、太田さんは前職で重機関係の仕事に就きましたが危険と隣り合わせでした。豪雪地帯で、除雪機が間に合わず危険な環境で業務をしたこともあります。長くは続けられないと思うようになりました。

「このまま終わりたくない」、太田さんの正直な気持ちです。でも、その気持ちを貫けるほど状況は甘くありません。転職はもう難しいと感じています。それでも太田さんはこう考えます。「企業に勤めていれば後10数年で定年です。でも僕はあと30年は自分の好きな分野で働きたい。そう考えると、今決断し、スキルを学べば将来に希望が持てます。ITスキルは専門性が高く、習得すればニーズが強い。」

太田さんは全くの初心者から参加しました。1ヶ月間、朝から深夜まで教室でパソコンと向き合いました。たくさんの質問もしました。ですが、将来の不安は消すことができませんでした。「参加前、ここを卒業したら、Webデザイナーとして一人前になると思っていました。今は、新しい、そして、長いレールが敷かれたのを感じます。ですが、途中で途切れているレールよりも何倍もいい。」太田さんは、現実を冷静に受け止めつつも、決して将来に悲観的ではありません。

太田さんが目指すフリーランスの仕事も、実は、これまで太田さんが否定してきた「不安定」と隣り合わせの仕事です。それでも、「やめるつもりはさらさらない」と言い切ります。なぜなら、「誰もが諦めなければ習得できるスキルだとわかったのです。時間をかけても、実力をつければ、長く仕事ができます。30年を見据えた今です。」後戻りはしない、太田さんの覚悟です。

石垣島ブートキャンプではこの覚悟が求められます。一人前になるには相当な努力が求められ、その過程で挫折してしまう方が多いのも現実です。しかし、太田さんが気付いたように、「誰もが」諦めない限り習得できます。私たちができることは、バッターボックスに立ち、逆転を狙う皆さんを励まし、時にサインを送ることです。人生の大勝負での一発逆転のホームランではなく、ギリギリセーフの内野安打でいい、確実に塁を進めましょう。